コロンとセミコロンの違いを理解して、大学入試を突破する。
この記事では コロン(:)とセミコロン(;)の使い方の違い を、入試英文の読解に焦点を当てて整理します。「コロン=つまり」「セミコロン=すなわち」と教えられることがあるようですが、これは危険な固定観念です。
目次
TL;DR(結論)
- コロン(:)=前の内容を具体化・説明・列挙。形式的で整然。
- セミコロン(;)=文と文をバランスよく接続。カンマより強く、ピリオドより弱い。
- 「つまり」「すなわち」に固定すると誤訳のもと。文脈に応じて 説明/列挙/並列/対比 など多様に機能する。
0. 用語整理
記号 | 名称 | 用途の中核 | 例 |
---|---|---|---|
: | コロン(colon) | 具体化・列挙・説明 | She had one goal: success. |
; | セミコロン(semicolon) | 等位文の接続/カンマ分離 | He was tired; he kept working. |
1. コロン(:)の用法
1) 前文の説明・具体化
- She had one goal: success.
訳:彼女の目標は一つ——成功だった。 - The solution is clear: invest more in education.
訳:解決策は明白だ——教育への投資を増やすことだ。
2) 列挙の導入
- He bought three things: apples, bananas, and oranges.
訳:彼は三つの物を買った——リンゴ、バナナ、そしてオレンジ。 - There are two reasons: first, lack of time; second, lack of money.
訳:理由は二つある——第一に時間不足、第二に金銭不足。
コツ:「前部=抽象」→「後部=具体」の関係が多い。必ずしも「つまり」ではなく、“説明・具体化” ととらえる。
2. セミコロン(;)の用法
1) 独立した文の接続(等位関係)
- He was tired; he kept working.
訳:彼は疲れていた——それでも働き続けた。 - The sun was setting; the sky turned orange.
訳:太陽が沈みかけ——空はオレンジ色に染まった。
2) カンマでは曖昧になる列挙の区切り
- On the trip we visited Paris, France; Rome, Italy; and Madrid, Spain.
訳:旅行で訪れたのは——フランスのパリ、イタリアのローマ、そしてスペインのマドリード。
Tips:カンマ(,)では混乱する長い列挙を整理するのがセミコロン(;)の役割のひとつ。
3. 誤解されやすいポイント
- 「コロン=つまり」:必ずしも同義関係ではない。説明・具体化・列挙のシグナル。
- 「セミコロン=すなわち」:そんなに限定的ではない。文と文をバランスよく並べるイメージ。
- 作文での注意:日本語の感覚で乱用すると不自然。特にセミコロンは学術論文などフォーマルな英文で好まれるが、日常文では多用されない。受験レベルの英作文では使わないほうがよい。
4. コロン vs セミコロン vs ダッシュ
記号 | ニュアンス | 例 |
---|---|---|
: | 整然とした説明・具体化 | One thing matters: honesty. |
; | 等位・バランス | He tried hard; he failed. |
— | 強い語気・補足 | He tried hard—yet failed. |
ダッシュは勢いのある強調、コロンは整然、セミコロンは均衡。使い分けのイメージをセットで押さえると理解が早い。
5. ミニ演習(すぐ解ける)
各文の コロン/セミコロンの役割 を [A]説明・具体化/[B]列挙/[C]等位接続/[D]区切り整理 から選んでください。
- He had one wish: freedom.
- The city is beautiful: its rivers, its parks, its people.
- The exam was hard; the students looked exhausted.
- We visited London, UK; Paris, France; and Berlin, Germany.
- There is one solution: to act now.
解答:1)[A] 2)[B] 3)[C] 4)[D] 5)[A]
6. よくある落とし穴
- コロンを 「つまり」一択で訳すのは危険 (本当は「説明・具体化」)
- セミコロンを 「すなわち」に固定するのは誤り (実際は「等位接続」)
- 大学受験の英作文ではセミコロン乱用は避ける:日常文よりも論文・公式文書で多い。読解では「カンマより強い区切り」と理解すれば十分。
7. まとめ
- コロン=前部の内容を「説明・具体化・列挙」。
- セミコロン=独立した文をバランスよく接続、または複雑な列挙の区切り整理。
- 「つまり」「すなわち」に固定せず、文脈ごとに柔軟に解釈すること。
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