今回は、仮定法について整理します。
仮定法は、単に「if がある文」ではありません。
大切なのは、現実とは異なることや、実現可能性が低いことを、現実から距離を置いて表すという点です。強い主観という考え方もできるとよいでしょう。
仮定法とは
仮定法は、次のような内容を表すときに使われます。
- 現実とは違うこと
- 実現の可能性が低いこと
- 事実とは反対のこと
- 現実には起こらなかったこと
たとえば、
If I were you, I would accept the offer.
もし私があなたなら、その申し出を受け入れるだろう。
この文では、実際には「私」は「あなた」ではありません。
そのため、現実から距離を置いて were や would を使っています。
仮定法を見抜くポイント
仮定法では、次の助動詞がよく使われます。
- would
- could
- might
そのため、英文中に would / could / might が出てきたら、仮定法の可能性を考えるとよいです。
ただし、仮定法では if 節がないこともある ので注意が必要です。
仮定法の基本ルール
仮定法は、表す内容の時間によって形が変わります。
1. 現在の事実に反する仮定
「今、もし〜ならば」という内容を表します。
| if 節 | 主節 |
|---|---|
| If S 過去形 | S would V |
| もしSが〜ならば | Sは〜するだろうに |
例文
If I were rich, I would buy a big house.
もし私がお金持ちなら、大きな家を買うだろう。
実際には「私はお金持ちではない」ので、現在の事実に反する仮定です。
2. 過去の事実に反する仮定
「あのとき、もし〜だったならば」という内容を表します。
| if 節 | 主節 |
|---|---|
| If S had Vpp | S would have Vpp |
| もしSが〜していたならば | Sは〜していただろうに |
例文
If I had studied harder, I would have passed the exam.
もっと一生懸命勉強していたなら、試験に合格していただろうに。
実際には「十分に勉強しなかった」「合格しなかった」という内容を表します。
3. 未来の可能性が低い仮定
「仮に〜ならば」「万一〜ならば」という内容を表します。
| if 節 | 主節 |
|---|---|
| If S were to V | S would V |
| If S should V | S would V / will V など |
例文
If you were to meet the president tomorrow, what would you say?
仮に明日大統領に会うとしたら、あなたは何と言うだろうか。
If anything should happen, please call me.
万一何か起こったら、私に電話してください。
were to V と should V の違い
どちらも未来の仮定を表しますが、少し性質が違います。
were to V
実現可能性がかなり低い仮定を表します。
If the sun were to rise in the west, I would not change my mind.
仮に太陽が西から昇るようなことがあっても、私は考えを変えないだろう。
should V
万一〜ならばという意味を表します。
should が使われる場合、主節には would だけでなく、will や命令文が来ることもあります。
If he should call, tell him I’m out.
万一彼が電話してきたら、私は外出中だと伝えてください。
問題1|動詞を適切な形に直しなさい
1
If I ( be ) you now, I ( do ) it at once.
解答
If I were you now, I would do it at once.
和訳
もし私が今あなたなら、すぐにそれをするだろう。
解説
now があるので、現在の事実に反する仮定です。
「もし私があなたなら」は If I were you と表します。
主節は would + 動詞の原形 を使うので、would do になります。
2
If I ( be ) you then, I ( do ) it at once.
解答
If I had been you then, I would have done it at once.
和訳
もし私があのときあなたなら、すぐにそれをしただろう。
解説
then が「あのとき」という過去を表しているので、過去の事実に反する仮定です。
if 節は had Vpp、主節は would have Vpp にします。
be の過去分詞は been、do の過去分詞は done なので、
If I had been you, I would have done it.
となります。
3
If I ( study ) hard then, I ( be ) a university student now.
解答
If I had studied hard then, I would be a university student now.
和訳
もしあのとき一生懸命勉強していたなら、私は今大学生だろう。
解説
これは、過去の条件と現在の結果が組み合わさった文です。
then があるので、if 節は過去の内容です。
そのため、had studied を使います。
一方、主節には now があるので、現在の結果を表します。
したがって、would be になります。
このような形を、混合仮定法と呼ぶことがあります。
4
If you were to meet the president tomorrow, what ( would / will ) you say?
解答
If you were to meet the president tomorrow, what would you say?
和訳
仮に明日大統領に会うとしたら、あなたは何と言うだろうか。
解説
were to V は、実現可能性の低い未来の仮定を表します。
そのため、主節も仮定法の would を使うのが自然です。
5
If a war ( were to / should ) happen tomorrow, what will you do?
解答
If a war should happen tomorrow, what will you do?
和訳
万一明日戦争が起こったら、あなたはどうしますか。
解説
主節に will があるため、if 節には should が適切です。
should V は「万一Vするならば」という意味を表し、主節に will や命令文を取ることがあります。
一方、were to V を使う場合は、主節も
what would you do?
とするのが自然です。
仮定法の if の省略
仮定法では、条件節の if が省略されることがあります。
このとき、条件節は疑問文と同じ語順になります。
基本形
If you were a student, S would V.
↓
Were you a student, S would V.
If you had been a student, S would have Vpp.
↓
Had you been a student, S would have Vpp.
If you should fail, S will V.
↓
Should you fail, S will V.
問題2|if を省略して書き直しなさい。また和訳しなさい
1
If I were not sick, I would take a trip around the world.
解答
Were I not sick, I would take a trip around the world.
和訳
もし病気でなければ、私は世界一周旅行をするだろう。
解説
If I were not sick の if を省略すると、Were I not sick になります。
were が主語 I の前に出ます。
2
If it had not been for your advice, I would have been at a loss.
解答
Had it not been for your advice, I would have been at a loss.
和訳
もしあなたの助言がなかったなら、私は途方に暮れていただろう。
解説
If it had not been for A は「もしAがなかったなら」という意味です。
if を省略すると、had が主語 it の前に出て、
Had it not been for your advice
となります。
3
If I should fail again, I will be discharged.
解答
Should I fail again, I will be discharged.
和訳
万一私がまた失敗したら、私は解雇されるだろう。
解説
If I should fail again の if を省略すると、should が主語 I の前に出ます。
should を用いた仮定では、主節に will が来ることもあります。
「Xがなければ」を表す表現
「もしXがなければ」は、次の表現で表します。
現在の仮定
If it were not for X
If it were not for water, no living thing could live.
もし水がなければ、生物は何も生きられないだろう。
過去の仮定
If it had not been for X
If it had not been for your help, I would have failed.
もしあなたの助けがなかったなら、私は失敗していただろう。
現在・過去の両方で使える表現
But for X
But for your help, I would have failed.
あなたの助けがなかったなら、私は失敗していただろう。
Without X
Without your help, I would have failed.
あなたの助けがなかったなら、私は失敗していただろう。
仮定法を使う慣用表現
仮定法は if 節だけでなく、いくつかの決まった表現でも使われます。
1. It is time S V
It is time S 過去形
「そろそろSがVするころだ」
例文
It is time you went to bed.
そろそろあなたは寝る時間だ。
実際にはまだ寝ていないので、過去形を使って現実と距離を置きます。
2. I wish S V
I wish S 過去形
「SがVならいいのに」
I wish S had Vpp
「SがVしていたらよかったのに」
例文
I wish I were rich.
私がお金持ちならいいのに。
I wish I had studied harder.
もっと一生懸命勉強していたらよかったのに。
3. If only S V!
If only S 過去形!
「SがVならいいのに」
If only S had Vpp!
「SがVしていたらよかったのに」
例文
If only I could speak English better!
もっと英語をうまく話せたらいいのに。
4. would rather S V
would rather S 過去形
「SにVしてほしい」
例文
I would rather you stayed here.
私はあなたにここにいてほしい。
I would rather you didn’t say that.
私はあなたにそれを言わないでほしい。
5. as if / as though S V
as if S 過去形
「まるでSがVするかのように」
as if S had Vpp
「まるでSがVしたかのように」
例文
He talks as if he knew everything.
彼はまるですべてを知っているかのように話す。
He talked as if he had seen the accident.
彼はまるでその事故を見たことがあるかのように話した。
問題3|動詞を適切な形に直しなさい
1
It is time you ( go ) to bed.
解答
It is time you went to bed.
和訳
そろそろあなたは寝る時間だ。
解説
It is time S V では、that 節内に過去形を使います。
go の過去形は went です。
2
I wish that I ( be ) you.
解答
I wish that I were you.
和訳
私があなたならいいのに。
解説
現在の事実に反する願望です。
I wish S 過去形 の形を使います。
be 動詞は、仮定法では主語に関係なく were を使うのが基本です。
3
I wished that I ( be ) you.
解答
I wished that I had been you.
和訳
私は自分があなたであったならよかったのにと思った。
解説
一方、「それ以前に私があなたであったならよかったのに」という過去の事実に反する内容なら、
I wished that I had been you.
になります。
4
I wish that I ( study ) hard then.
解答
I wish that I had studied hard then.
和訳
あのとき一生懸命勉強していたらよかったのに。
解説
then があるため、過去の事実に反する願望です。
I wish S had Vpp の形を使います。
study の過去分詞は studied なので、had studied になります。
5
He talks as if he ( know ) everything.
解答
He talks as if he knew everything.
和訳
彼はまるですべてを知っているかのように話す。
解説
実際にはすべてを知っているわけではない、という仮定の意味です。
そのため、as if の後ろに過去形 knew を使います。
6
If only I ( can ) stop smoking now!
解答
If only I could stop smoking now!
和訳
今、たばこをやめられたらいいのに。
解説
now があるため、現在の願望です。
can を過去形の could にして、現実から距離を置きます。
as if の用法
as if は、単純に「時制を1つ過去にずらす」とだけ覚えると危険です。
主節が現在か過去か、また内容が現実に近いかどうかによって形が変わります。
1. He looks as if he is sick.
彼は病気であるように見える。
解説
he is sick は、実際に病気である可能性がある内容です。
現実に近い判断なので、直説法の is が使われています。
2. He looks as if he were sick.
彼はまるで病気であるかのように見える。
解説
実際には病気ではないかもしれない、または病気ではないと考えている場合です。
現実から距離を置いて were を使っています。
3. He talked as if he knew everything.
彼はまるですべてを知っているかのように話した。
解説
話していた時点で「すべてを知っているかのように」話した、という意味です。
実際にはすべてを知っているわけではないため、knew を使います。
4. He talked as if he had seen the accident.
彼はまるでその事故を見たことがあるかのように話した。
解説
その事故を見たことは、talked より前の内容です。
主節より前の仮定なので、had seen を使います。
if 節を使わずに条件を表す仮定法
仮定法では、if 節がなくても条件を表すことがあります。
文中の副詞・名詞句・不定詞句などに、
「もし〜ならば」
という条件の意味が含まれることがあります。
この場合、文の中に
would / could / might + 動詞の原形
または
would / could / might have Vpp
があることが、仮定法を見抜く手がかりになります。
例文
1
I left home ten minutes earlier; otherwise I would have been late for school.
私は10分早く家を出た。そうでなければ、学校に遅れていただろう。
解説
otherwise は「そうでなければ」という意味です。
if 節はありませんが、
if I had not left home ten minutes earlier
という条件が含まれています。
2
A man of common sense would never do such a thing.
常識のある人なら、決してそんなことはしないだろう。
解説
A man of common sense は、
if he were a man of common sense
のような条件を含んでいます。
3
With more time, I could explain it better.
もっと時間があれば、私はそれをもっと上手に説明できるだろう。
解説
With more time は、
if I had more time
に近い条件を表します。
4
To hear him speak English, you would think he is from the US.
彼が英語を話すのを聞けば、彼はアメリカ出身だと思うだろう。
解説
To hear him speak English は、
if you heard him speak English
のような条件を表します。
不定詞句が条件の意味を持つ例です。
追加例文|if 節のない仮定法
1
Without your help, I could not finish this work.
あなたの助けがなければ、私はこの仕事を終えられないだろう。
2
But for his advice, I would have made a serious mistake.
彼の助言がなかったなら、私は重大なミスをしていただろう。
3
In your position, I would tell the truth.
あなたの立場なら、私は本当のことを言うだろう。
4
A little more effort, and you could pass the exam.
もう少し努力すれば、あなたは試験に合格できるだろう。
5
Given another chance, I would try again.
もう一度機会を与えられれば、私は再挑戦するだろう。
まとめ
仮定法を理解するうえで大切なのは、形を丸暗記することではありません。
重要なのは、次の3点です。
1. 現実との距離を考える
仮定法は、現実と距離を置く表現です。
そのため、現在のことでも過去形を使ったり、過去のことなら had Vpp を使ったりします。
2. would / could / might に注目する
文中に would / could / might があれば、仮定法の可能性を考えます。
特に、if 節がない場合でも、これらの助動詞が手がかりになります。
3. if 節がない仮定法にも注意する
仮定法は、必ず if を使うとは限りません。
otherwise
without
but for
with
to V
名詞句
などが条件の意味を表すことがあります。
仮定法は、「もし〜ならば」と訳せるかどうかだけでなく、
現実とどのような距離があるのかを考えることが大切です。
コメント