こんにちわ。先生。です。
今回は2023年に慶応大学経済学部で出題された少子化対策の問題です。
ご存じの方も多いと思いますが、慶應(経済)の自由英作では、読解問題の記述から引用することを求められますが、今回の答案には含めてはいません。
(A) Should the Japanese government pay families to have more children?Why or why not?
慶應大学 経済学部
子どもがいる世帯への国からの給付(報酬)に関する問題。
子どもを育てる労働に対する対価を支払うことの是非を問う問題です。
日本では児童手当がありますが、これも所得制限が設けられていて不平等感はぬぐえません。
ちなみに、現在、子どもを1人育てると2000万円かかるらしいですが、これはほとんど教育費であることは知っておいていいでしょう。
解答例
解答例1
The Japanese government faces a challenge due to the country's low birth rate, which has led to a rapidly aging population and concerns about the sustainability of the social security system. One potential solution is for the government to pay families to have more children. However, while this policy could potentially increase the birth rate and stimulate economic growth, it also raises concerns about potential costs and inequality. Moreover, cultural factors such as the high cost of raising children and the preference for smaller families could limit the impact of this policy. Thus, deciding whether to implement such a policy would require careful weighing of the pros and cons, along with a thorough analysis of its potential impact. Ultimately, the government must balance its desire to increase the birth rate with its responsibility to address the concerns of all citizens.(140words)
日本政府は、少子高齢化が急速に進み、社会保障制度の持続可能性が懸念されることから、課題に直面しています。その解決策の一つとして、政府がお金を出して子どもを産む家庭を増やすことが考えられます。しかし、この政策は出生率を高め、経済成長を促す可能性がある一方で、潜在的なコストや不平等が懸念される。さらに、子育てにかかる費用の高さや小家族を好むといった文化的要因も、この政策の影響を制限する可能性がある。したがって、このような政策を実施するかどうかを決定するには、長所と短所を慎重に検討し、その潜在的な影響について徹底的に分析する必要があります。最終的には、政府は出生率を上げたいという願望と、すべての国民の懸念に対処する責任とのバランスを取る必要があります。
解答例2
The low birth rate in Japan is a significant concern that needs to be addressed and paying families to have more children could be a potential solution. This policy could increase the birth rate, stimulate economic growth, and address concerns about the sustainability of the social security system. While there are concerns about potential costs and inequality, the benefits of increasing the birth rate and supporting families could outweigh these concerns. However, it is important to ensure that this policy is implemented in a fair way and does not disadvantage those unable to have children or who choose to have smaller families. Ultimately, the decision to implement such a policy would require careful consideration and analysis of its potential impact.(120words)
日本の出生率の低さは、対処すべき重要な懸念事項であり、より多くの子供を産むために家族にお金を払うことは、潜在的な解決策となり得る。この政策は出生率を高め、経済成長を刺激し、社会保障制度の持続可能性に関する懸念に対処することができる。潜在的なコストや不平等に対する懸念がある一方で、出生率の向上や家族支援のメリットは、これらの懸念を上回る可能性がある。しかし、この政策が公正な方法で実施され、子供を持てない人や少人数の家族を選ぶ人に不利益を与えないようにすることが重要である。最終的に、このような政策を実施するかどうかは、その潜在的な影響について慎重に検討し、分析する必要があるだろう。
解答例3
While there are concerns about the low birth rate in Japan, I believe that the government should not pay families to have more children. Such a policy could create inequality, disadvantage those who are unable to have children, and raise concerns about potential costs. Additionally, cultural factors such as the high cost of raising children and the preference for smaller families could limit the impact of this policy. Instead, the government should focus on addressing the root causes of the low birth rate, such as improving work-life balance and reducing the financial burden of child-rearing. Moreover, it should consider the impact of any policy decisions on all citizens, not just those who choose to have larger families.(117words)
日本の少子化が懸念されていますが、私は、政府が家庭にお金を出して子どもを増やすようなことはすべきではないと考えています。このような政策は不平等を生み、子供を持てない人に不利益を与え、潜在的なコストに対する懸念を抱かせる可能性があります。さらに、子育てにかかる費用の高さや小家族を好むといった文化的要因も、この政策の影響を制限する可能性があります。それよりも、政府は、ワークライフバランスの改善や子育ての経済的負担の軽減など、少子化の根本的な原因への対処に焦点を当てるべきである。さらに、大家族を望む人たちだけでなく、すべての国民にどのような政策決定が影響を与えるかを考慮する必要があります。
給付のメリットとデメリット
メリット
- 人口増加
日本は出生率が非常に低いため、高齢化が進み、社会保障制度の持続性について懸念があります。家族に報酬を支払うことで、出生率が上がり、この問題に対処することができる可能性があります。 - 労働力増加
若い人口が増えることで、労働力の規模が拡大し、経済に良い影響を与える可能性があります。 - 需要増加
子供の増加により、商品やサービスの需要が増え、経済成長を促進することができる可能性があります。
デメリット
- コスト
政府が家族に報酬を支払うには、多額の予算が必要になります。すでに高い政府債務を抱える日本にとっては、このような政策を実施することが困難である可能性があります。 - 不平等
家族に報酬を支払うことで、報酬を受け取れない人々との間に不平等が生じる可能性があります。また、子供を持てない人々にとっても不利になる可能性があります。 - 効果不明確
家族に報酬を支払っても、出生率が上がるとは限りません。子育て費用の高さや、小規模家族の好まれる文化など、他の要因が影響を及ぼす可能性があるためです。
日本で子供を育てるのに必要なお金
20歳になるまでに必要な費用は、個人や家庭の状況によって異なりますが、数百万円から数千万円以上かかります。
- 住居費:親と同居している場合でも、家賃や光熱費など
- 食費:子供の成長に合わせた栄養バランスの取れた食事が必要
- 衣服費:成長に合わせた衣服や靴など
- 医療費:健康維持のための医療費
- 学費:保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校など、教育機関にかかる費用
- 教育費:学習教材や習い事など、子供の教育に関する費用。
なぜ、そこまで差がつくのかというと、学費、教育費です。日本において公立の小学校から高校までの教育費用は、基本的に無料または低額です。一方、すべての教育機関を私立にすると、総額4,000万円という金額も十分に可能性としてあり得ます。
児童手当
日本の児童手当は、子どもを持つ世帯に対して支給される国の給付金です。現在、2023年現在、次のような支給額が設定されています。
- 第1子目:月額1万5000円
- 第2子目:月額1万5000円
- 第3子目以降:月額2万円
また、所得制限があるため、高所得者の家庭には支給されません。具体的には、所得制限を超える場合は、支給額が縮減されたり、支給されなかったりすることがあります。
児童手当は、子どもの生活費や教育費などを賄うための補助金として、国が支給している制度です。支給額は、国や地方自治体によって異なる場合がありますが、子どもを持つ家庭にとっては重要な支援制度の一つです。
まとめ
まずは、僕は結婚しないと。。。
日本の少子化は「お金💰」の問題ももちろん大きいですが、原因はそれだけではないように思います。
大学受験の自由英作では頻出のテーマなので、あれこれ考えてみるのはいいことでしょう。